
こんにちわ真夏です。本日は、漢のロマンの代名詞こと「列車砲 グスタフ&ドーラ」について語ります。
はじめに
第二次世界大戦中、ドイツは数々の強力な兵器を開発しましたがその中でも特に規格外のスケールを誇るのが超重列車砲 グスタフ&ドーラです。
この巨大な砲は史上最大級の80cm口径を持ち、その大きさと破壊力は世界中を驚かせました。
しかしこのような超巨大兵器には多くの課題もありました。設置や移動に時間と労力がかかるため実戦での活躍の機会は限られていたのです。
本記事ではグスタフとドーラの開発背景からその驚異的なスペック、実際の戦闘での使用、そして最期まで詳しく解説していきます。
軍事に詳しくない人でもわかるようにできるだけわかりやすく説明するので、ぜひ最後まで読んでみてください!
グスタフ&ドーラ開発の背景
なぜこんなに巨大な砲が作られたのか?

1930年代の終わりごろドイツ軍はヨーロッパ各地にある頑丈な要塞を破壊するための強力な兵器を求めていました。
当時の要塞は分厚いコンクリートや鉄によって守られており、普通の砲では簡単に破壊することができませんでした。
そこでドイツの有名な兵器メーカーであるクルップ社が開発に着手し、誕生したのが超巨大な列車砲「グスタフ」と「ドーラ」だったのです。
圧倒的なスペック
グスタフとドーラの性能は現代でも驚かれるほどの規格外でした。
項目 | スペック |
---|---|
口径 | 80cm |
砲身の長さ | 約32.48m |
総重量 | 約1,350トン |
全長 | 約42.3m |
全高 | 約11.6m |
砲弾の重さ | 約7トン |
射程 | 30 – 48km |
7トンの砲弾とは小さな車1台分の重さに匹敵します。これを約37kmも先に飛ばせると言われており、まさに驚異的な技術でした。

ただしその巨大さゆえに多くの問題もありました。列車砲は非常に重く、移動や設置に多くの時間と人手が必要だったのです。
グスタフの実戦投入
クリミア戦線での使用
1番砲であるグスタフは1942年のセヴァストポリ要塞攻略戦(クリミア半島)で実戦投入されました。
この要塞はソ連軍が守っており分厚いコンクリートの壁で防御されていたため、ドイツ軍はこの要塞を突破するためにグスタフを使用しました。
設置されたのは要塞から16kmも離れた地点でしたがグスタフは48発もの砲弾を撃ち込みました。これによってソ連軍の防御陣地に大きなダメージを与えたとされています。
ワルシャワ蜂起での使用?
また、1944年に発生したワルシャワ蜂起(ポーランドでの抵抗運動)の鎮圧にも使われる予定でした。
ただしこれについては記録がはっきりしておらず、最終的には投入はされていないと言われています。
ドーラの戦歴
スターリングラード戦線での試み
2番砲であるドーラは1942年8月にスターリングラード攻防戦への投入が計画されました。
しかしこの戦いではソ連軍の反撃が激しく、砲を設置する前に戦況が悪化してしまいました。
結果的にドーラは撤退を余儀なくされ、実際に発砲することはありませんでした。
運用上の課題と最期
巨大すぎる兵器の弱点
グスタフ&ドーラはとにかく巨大なため運用には多くの制約がありました。
- 移動や設置に多くの時間と人手が必要
→ 専用の鉄道レールを敷く作業が必要だったためすぐに使えるわけではなかった。 - 制空権がないと危険
→ 大きすぎて敵の航空機の標的になりやすいため空の支配がないと安全に運用できなかった。 - 戦況の変化に対応しづらい
→ 戦いが長期化したり急に戦線が変わったりするとすぐに移動するのが難しかった。
1945年、爆破処分へ
最終的に1945年4月ごろに連合国軍に接収されるのを防ぐため、ドイツ軍自ら爆破処分しました。
こうして世界最大級の列車砲はその姿を消すこととなったのです。
興味深い逸話
- 3番砲の計画があった!?
→ 実は口径を52cmに小さくし砲身を長くした新型砲が計画されていました。しかしこの砲が完成することはありませんでした。 - グスタフより大口径の砲があった!?
→ 実はアメリカ軍が開発した36インチ(約914mm)迫撃砲「Little David」という試作兵器がありました。ただし実戦投入はされておらず、知名度も低いです。
まとめ

列車砲 グスタフ&ドーラはあまりにも巨大すぎる兵器でした。
その圧倒的な威力とスケールは戦争の歴史に刻まれるものとなりましたが、実戦での活躍は限られていました。
その理由は、
- 巨大すぎて運用が難しい
- 移動や設置に時間がかかる
- 制空権がないと使えない
という大きな問題があったからです。
しかしその技術力の高さや「世界最大級の砲」としてのインパクトは今も語り継がれています。
戦争の歴史を学ぶ上でもグスタフとドーラは非常に興味深い兵器の一つといえるでしょう。
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