こんにちは真夏です。今回はボードゲーム「サイズ -大鎌戦役-(原題: Scythe)」のすべての拡張について詳しく解説していきます。第一次世界大戦後の架空のヨーロッパを舞台にした重量級戦略ゲーム「サイズ」の世界を更に深く楽しむための拡張セットの特徴や魅力を理解し、あなたのゲーム体験を豊かにする手助けになれば幸いです。
基本セットの概要
「サイズ -大鎌戦役-」は1920年代のもうひとつの世界を舞台にした、重量級4X(探検・拡大・開発・破壊)ゲームです。ゲームでは、プレイヤーは各国のリーダーとなり、自分の領土を拡大し、資源を集め、兵器であるメックを生産し、民心を獲得しながら国家の繁栄を目指します。
特徴的なのは美しいアートワークと独特な世界観に加え、メックという戦闘と輸送を担う重要なユニットを生産するシステムです。各プレイヤーは『移動』、『増強』、『交易』、『生産』の4種類の上段アクションのいずれかを選んで実行し、さらに下段の特別アクションを組み合わせることで効率的な国家運営を目指します。
基本セットでは5つの所属国からプレイする勢力を選び、それぞれ異なる特徴を持つプレイヤーボードと組み合わせることで毎回異なる戦略が求められる深いゲーム体験が楽しめます。
彼方よりの侵攻

主な特徴と追加要素
- 新たな所属国「アルビオン」と「戸川幕府」の2勢力が追加
- 各勢力の専用ミニチュア、コマ、プレイヤーマットなど
- プレイ人数上限が5人から7人に拡大
- プレイヤーボード2枚の追加
ゲームプレイへの影響
彼方よりの侵攻は「サイズ」の第1拡張であり、これまでにない2つの勢力が加わることで、ゲームの多様性が大きく広がります。「アルビオン」と「戸川幕府」の2勢力はそれぞれに特徴的な能力を持っています。
「アルビオン」は特殊なトークンをマップに置く能力を持ち、配置したエリアに敵が入ると影響力を与えることができます。これにより領土の間接的な支配が可能になる特徴を持ちます。
「戸川幕府」はワープ系の能力を持ち、マップ上のキャラクターを特殊な方法で移動させることができるため、一見不利に見える位置でも戦略の幅が広がります。
どちらの勢力も元の5勢力とは異なるプレイフィールを提供し、これまでの戦略にはない新しいアプローチが求められます。最大7人でのプレイが可能になったことでより大人数でのゲーム体験も楽しめるようになりました。
基本情報
- プレイ人数:1~7人
- プレイ時間:90~140分
- 対象年齢:14歳以上
- 発売日:2018年3月29日
風に舞う策謀

主な特徴と追加要素
- 「飛行船」モジュールの追加(7つの大型ミニチュアと16枚の能力タイル)
- 「決議案」モジュールの追加(8枚のタイル)
- 全モジュールはオプションで、他の拡張の有無に関わらず使用可能
- 1人プレイ用のAutomaコンポーネント
ゲームプレイへの影響
「風に舞う策謀」は「サイズ」に空からの戦略を追加する拡張です。「飛行船」モジュールでは、各プレイヤーが自分専用の飛行船を操ることができるようになり、ゲームボード上での移動や交易、戦闘に新たな戦略的オプションが生まれます。飛行船は2種類の能力(移動能力と侵略能力)をランダムに割り当てられ、これによりゲームごとに異なるプレイ感覚を体験できます。
「決議案」モジュールは、ゲームの終了条件を変化させる要素を追加します。通常のゲーム終了条件(いずれかのプレイヤーが6個の星を置いた時点)とは別に、ランダムに選ばれた決議案タイルによって異なる終了条件が適用され、プレイヤーはそれに合わせた戦略を立てる必要があります。
飛行船は支配(テリトリーの占領)には影響しないものの、移動や資源運搬の補助的役割を果たし、ゲームのスピードやプレイ感を大きく変化させます。決議案はゲームの目的そのものに影響するため、戦略の根本から見直す必要が生じることもあります。
基本情報
- プレイ人数:1~7人(彼方よりの侵攻拡張があれば7人まで)
- プレイ時間:115分
- 対象年齢:14歳以上
- 発売日:2018年9月6日
フェンリス襲来

主な特徴と追加要素
- 「キャンペーンゲーム」モード(8つのエピソードからなるストーリー)
- 11種類の「拡張モジュール」
- 新たな2勢力(フェンリスとヴェスナ)の追加
- 協力プレイモード
- 複数人プレイ用のAutoma(AI対戦)バリアント
ゲームプレイへの影響
「フェンリス襲来」は「サイズ」拡張3部作の最終章であり、最も大きな変化をゲームにもたらします。8つのエピソードからなるキャンペーンモードでは、各プレイの結果が次のゲームに影響し大鎌戦役の世界が進化していく様子を体験できます。キャンペーン中、プレイヤーは様々な新要素に出会いそれらを使って戦略を練り直す必要があります。
11の拡張モジュールには、勝利条件の変更や対戦モードの増加など、盤面への影響力が大きい新たな遊び方が含まれています。これらのモジュールはキャンペーン後も個別に使用でき、サイズの遊び方を格段に広げます。
新しい2勢力「フェンリス」と「ヴェスナ」はこれまでの勢力とは一線を画する特殊能力を持ち、よりバラエティに富んだゲーム体験を提供します。また、初めて協力プレイモードが導入され、敵AIに対して協力してプレイすることも可能になりました。
この拡張は単なる追加要素ではなく、サイズというゲームそのものの可能性を大きく広げる総合的な拡張セットとなっています。
基本情報
- プレイ人数:1~7人(彼方よりの侵攻拡張があれば7人まで)
- プレイ時間:70~140分
- 対象年齢:14歳以上
- 発売日:2018年12月6日
さらなる戦場

引用元:ArclightGames
主な特徴と追加要素
- 「遭遇カード」14枚(No.29~42)
- 「ファクトリーカード」6枚(No.13~18)
- 「目的カード」4枚(No.24~27)
- すべて基本セットのカードと混ぜて使用可能
ゲームプレイへの影響
「さらなる戦場」は、元々「サイズ」のキックスターター英語版に同梱されていたプロモカード計24枚を日本語化し、ひとつのパッケージとしてまとめたものです。追加カードはすべて番号付けされており、基本セットのカードと混ぜて使用することで、遭遇や工場、目的のバリエーションが増加します。
新しい遭遇カードには基本セットにはない効果や選択肢が含まれており、プレイヤーの戦略の幅を広げます。ファクトリーカードは新たな工場アクションを提供し、プレイヤーが選択できる戦略的オプションを増やします。目的カードにも新たな勝利への道筋が用意されており、より多様な得点方法を模索できるようになります。
この拡張はゲームシステムを大きく変えるものではありませんが、既存のプレイに更なるバリエーションを追加し、長期的な面白さを提供します。特に遭遇カードの追加は、マップ上での探索の面白さを増加させる効果があります。
基本情報
- プレイ人数:1~7人(拡張により変動)
- プレイ時間:115分
- 対象年齢:14歳以上
- 発売日:2019年1月24日
変転の大地

主な特徴と追加要素
- モジュラーマップボード(両面ボードと4つの大型両面タイル)
- 各所属国の本拠地配置が毎回変化
- 新しい「施設ボーナスタイル」8枚
- 基本セットと全拡張と併用可能
ゲームプレイへの影響
「変転の大地」は「サイズ」のマップそのものを変化させることができる拡張です。マップ上に地形タイルを配置し、各所属国の本拠地の場所を新たに設定することにより毎回異なる状況でゲームを楽しむことができます。
この拡張によって、基本セットの固定されたマップレイアウトの問題が解消されます。基本セットでは各勢力の位置関係が固定されているため、最適な序盤の動きがある程度決まってしまう傾向がありましたが、この拡張により毎回異なるスタート位置と地形配置が実現し完全に新鮮な戦略的思考が求められます。
また新しい施設ボーナスタイルが8枚追加されることで、施設の建設に関する戦略にも新たな選択肢が生まれます。
何十回とプレイしたベテランプレイヤーでも、この拡張により「サイズ」を新鮮な気持ちで再体験することができゲームの再プレイ性が大幅に向上します。特に勢力間のバランスに関する問題を緩和する効果もあり、より公平な競争環境を提供できます。
基本情報
- プレイ人数:1~7人(拡張により変動)
- プレイ時間:115分
- 対象年齢:14歳以上
- 発売日:2019年7月26日
予期せぬ遭遇

主な特徴と追加要素
- 新しい「遭遇カード」32枚(No.43~74)
- Scytheファンによって設計され、開発されたプロモカード
- 遭遇システムに新たな革新をもたらす効果
- 基本セットの遭遇カードと混ぜて使用可能
ゲームプレイへの影響
「予期せぬ遭遇」は、「サイズ」の遭遇システムに大きな追加をもたらす小型の拡張です。32枚の新しい遭遇カードには遭遇時の選択肢や効果に革新的な要素が盛り込まれており、プレイヤーはより興味深い決断を迫られることになります。
ファンによってデザインされたこれらのカードには、ゲーム終了時に追加収入を得られるものや、戦略的に非常に強力な効果を持つものも含まれているため、遭遇カードの価値がより高まります。これによりマップ上での遭遇トークンの重要性が増し、プレイヤーは遭遇を求めて行動するインセンティブが強まります。
この拡張は小さいながらも「サイズ」のコアな部分である遭遇システムを強化・拡張するもので、既存の遭遇カードだけでは物足りなくなってきたベテランプレイヤーにとって新鮮な体験を提供します。
基本情報
- プレイ人数:1~7人(拡張により変動)
- プレイ時間:115分
- 対象年齢:14歳以上
- 発売日:2018年
拡張の互換性と組み合わせ
「サイズ」の各拡張は基本的に互いに組み合わせて使用することが可能です。拡張同士の互換性は高く、様々な組み合わせでプレイすることでその都度異なる体験が楽しめます。
特におすすめの組み合わせとしては:
- 初心者向け拡張組み合わせ:「彼方よりの侵攻」+「さらなる戦場」
- 新勢力と追加カードでバリエーションを増やしつつ、基本ルールは維持
- 中級者向け拡張組み合わせ:上記2つ+「風に舞う策謀」
- 飛行船という新たな移動手段と、多様な決議案による変化を楽しめる
- 上級者向け拡張組み合わせ:すべての拡張+「フェンリス襲来」の個別モジュール
- 様々な要素を組み合わせた、最も複雑で深いゲーム体験
- マップバリエーション重視:「変転の大地」+「彼方よりの侵攻」
- 異なる勢力配置と地形で、毎回新鮮なゲーム展開を楽しめる
「フェンリス襲来」のキャンペーンモードを楽しむ場合は、キャンペーンの進行に合わせて段階的に拡張要素が追加されるため、最初から他の拡張を組み合わせる必要はありません。
どの拡張から始めるべきか
「サイズ」の拡張を導入する順番は、あなたのプレイスタイルや求める要素によって異なります。以下はプレイヤータイプ別のおすすめ導入順です:
- より多くの勢力が欲しい方:「彼方よりの侵攻」
- 最もシンプルかつ基本に忠実な拡張で、プレイヤー数も増やせる
- 戦略の多様性を求める方:「風に舞う策謀」
- 飛行船による移動の幅が広がり、決議案によるゲーム終了条件の変化で戦略が多様化
- マップの固定性に不満がある方:「変転の大地」
- 毎回変わるマップで完全に新しい状況から始められる
- ストーリー性と深みを求める方:「フェンリス襲来」
- キャンペーンモードでサイズの世界観を深く体験できる
- カードの多様性を求める方:「さらなる戦場」や「予期せぬ遭遇」
- 追加カードによりバリエーションが増え、遭遇や工場訪問の新鮮さが増す
初めての拡張としては「彼方よりの侵攻」が最も導入しやすく、ゲームの本質を変えることなく遊びの幅を広げてくれます。より大きな変化を求めるなら「変転の大地」がおすすめで、マップの変化だけで戦略が大きく変わる体験ができます。
まとめ
「サイズ -大鎌戦役-」の拡張は、それぞれに特徴的な要素を持ち、基本ゲームの体験を様々な方向に拡張しています。
- 彼方よりの侵攻:新勢力の追加でプレイヤー数と戦略の幅が広がる
- 風に舞う策謀:飛行船と決議案でゲームプレイに新たな次元を追加
- フェンリス襲来:キャンペーンと多数のモジュールで最も大きな変化をもたらす
- さらなる戦場:追加カードでバリエーションを増やす
- 変転の大地:モジュラーマップで毎回新鮮なゲーム展開を実現
- 予期せぬ遭遇:遭遇システムに新たな深みを追加
これらの拡張は単体でも十分に楽しめますが、組み合わせることでさらに豊かなゲーム体験が可能になります。サイズというゲームの魅力は、美しいコンポーネントと深い戦略性、そして異なるプレイスタイルを許容する柔軟性にあります。これらの拡張はその魅力をさらに引き出し何度でも楽しめるゲームへと進化させてくれるでしょう。
あなたのプレイスタイルに合った拡張を選び、大鎌戦役の世界をより深く探索してみてください。
以上、「サイズ -大鎌戦役-」のすべての拡張を詳しく紹介しました。この記事が皆さんのボードゲーム選びの参考になれば幸いです。
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