イーオンズエンド 全拡張セット完全ガイド —特徴と魅力を徹底解説—

ボードゲーム

協力型デッキ構築ボードゲームの名作「イーオンズエンド」は、多くの拡張が発売され、そのプレイバリエーションは非常に豊富です。「デッキをシャッフルしない」という独特のシステムを持ち、プレイヤーは破孔魔術師となって強大な敵(ネメシス)に立ち向かいます。本記事では、「イーオンズエンド」の全拡張について、その特徴や魅力を徹底解説します。

イーオンズエンドとは

イーオンズエンドは、ドミニオンのようなデッキ構築ゲームでありながら、プレイヤー同士が協力して強大なボス(ネメシス)に挑むレイドバトル形式の協力型ボードゲームです。このゲームの大きな特徴は、「デッキ再構築時にシャッフルしない」というメカニクスで、カードは使った順番でそのままデッキの下へ戻されます。これにより手札の運要素が減り、戦略性が高まっています。

プレイヤーは「破孔魔術師」を操り、宝石カード(資源獲得)、呪文カード(攻撃)、遺物カード(特殊効果)を購入・強化しながら、ネメシスの攻撃に耐えつつ打ち倒すことを目指します。

イーオンズエンドは、「Wave」と呼ばれる大きなリリースシリーズに分かれており、各Waveには単体で遊べる「コアセット(スタンドアロン)」と、コアセットが必要な「小箱拡張」があります。

Wave1:基本セットとミニ拡張

基本セット(AEON’S END Core Set)

発売時期: 2017年9月(日本語版:2020年5月)

主な特徴と追加要素:

  • 最初のコアセットとして、ゲームの基本メカニクスを導入
  • 8人の破孔魔術師(カディア、アーデルハイム、ブラマ、ラッシュ、ミスト、フェドラクサ、ザクソス、ジアンなど)
  • 4体のネメシス(レイジボーン、甲殻の女王、暴食の公子、歪んだ仮面)
  • 基本のサプライカード(宝石、呪文、遺物)
  • デッキをシャッフルせず、使用順にデッキ下へ戻すメカニクス

ゲームプレイへの影響: シンプルながらもデッキ構築と協力プレイの楽しさを存分に味わえるセットです。難易度はやや低めに設定されているため、イーオンズエンドシリーズの入門として最適です。各破孔魔術師は独自の初期デッキと特殊能力を持ち、プレイングの幅を広げています。

基本情報:

  • プレイ人数: 1-4人
  • プレイ時間: 約60分
  • 対象年齢: 14歳以上

拡張:深層(The Depths)

発売時期: 2017年10月(日本語版あり)

主な特徴と追加要素:

  • 3人の新しい破孔魔術師(ニム、リーヴ、ザーナ)
  • 1体の新ネメシス(群れの老婆)
  • 追加サプライカード

ゲームプレイへの影響: 新しい破孔魔術師は基本セットとは異なるプレイスタイルを提供し、特に群れの老婆は同種のトログが複数出現した際に特殊効果を発動させる強力なネメシスです。

拡張:名無きもの(The Nameless)

発売時期: 2017年10月(日本語版あり)

主な特徴と追加要素:

  • 1人の新しい破孔魔術師(マラスター)
  • 2体の新ネメシス(荒廃の領主、翻弄する者)
  • 追加サプライカード

ゲームプレイへの影響: 荒廃の領主は世界に初めて現れた名無きものであり、汚染トラックによりプレイヤーのデッキを弱体化させます。翻弄する者は破孔の操作が重要となるユニークなネメシスです。

Wave2:終わりなき戦いとミニ拡張

終わりなき戦い(War Eternal)

発売時期: 2017年10月(日本語版:2021年7月)

主な特徴と追加要素:

  • 独立拡張として単体でプレイ可能
  • 8人の新しい破孔魔術師
  • 4体の新ネメシス
  • 新たなサプライカード27種類
  • 基本セットよりも全体的に難易度上昇
  • サプライが空になると強化される系カードの導入

ゲームプレイへの影響: 『終わりなき戦い』は基本セットよりもプレイ難易度が上昇しており、ボスの能力や呪文の効果がより強力かつ複雑になっています。「サプライが空になると強化される」といった新たなカードメカニズムも追加され、戦略の幅が広がっています。破孔との連携を重視したカードデザインも特徴で、戦略性が深まるセットです。

基本情報:

  • プレイ人数: 1-4人
  • プレイ時間: 約60分
  • 対象年齢: 14歳以上

拡張:虚空(The Void)

発売時期: 2018年1月(日本語版あり)

主な特徴と追加要素:

  • 新たな破孔魔術師と新ネメシス
  • Link spellsという新たな攻撃連携システムの導入

ゲームプレイへの影響: Link spellsは複数の呪文カードを連携させる新メカニクスで、より戦略的な選択肢と強力な連携プレイを可能にします。

拡張:外より来たりし闇(The Outer Dark)

発売時期: 2018年3月(日本語版あり)

主な特徴と追加要素:

  • 新たな破孔魔術師と新ネメシス
  • 追加サプライカード

ゲームプレイへの影響: より多様なカードバリエーションとキャラクターが加わり、「終わりなき戦い」の世界をさらに広げます。

Wave3:レガシー

イーオンズ・エンド:レガシー(AEON’S END Legacy)

発売時期: 2019年1月(日本語版:2023年1月)

主な特徴と追加要素:

  • レガシーシステムの導入:シールを貼り、名前を記入するなど不可逆な変更
  • 7つのシナリオを通じてキャラクターを成長させるキャンペーンモード
  • 見習い破孔魔術師から始まる成長ストーリー
  • 4人の基本キャラクター(プレイ人数に応じて)
  • 新たなメカニズム(パルス、シールド、鎮静化)の導入
  • キャンペーン後も使用可能な追加コンポーネント

ゲームプレイへの影響: キャンペーンを通じて自分だけのキャラクターが成長していく楽しさと、徐々に解放される新要素の驚きが特徴です。初心者にも段階的にルールを学べる導入としても機能します。カスタマイズ性が高く、リプレイ性も豊かなセットです。

基本情報:

  • プレイ人数: 1-4人
  • プレイ時間: 約60-90分/ゲーム(キャンペーン全体で約10時間)
  • 対象年齢: 14歳以上

拡張:埋もれた秘密(Buried Secrets)

発売時期: 2019年3月(日本語版あり)

主な特徴と追加要素:

  • レガシーシステムと互換性のある追加カード
  • 新たなサプライカードとネメシスカード

ゲームプレイへの影響: レガシーキャンペーン後のリプレイ性を高め、追加のサプライカードでバリエーションが増します。

Wave4:新たな時代とミニ拡張

新たな時代(The New Age)

発売時期: 2019年9月(日本語版:2021年)

主な特徴と追加要素:

  • プチレガシーシステム:全カードに番号が振られ封印された状態でスタート
  • エクスペディションモード:4連戦の連続バトル形式のキャンペーン
  • 封印解除で徐々に新カードやキャラクターが追加される仕組み
  • トレジャーカードによるキャラクター強化システム
  • 8人の新破孔魔術師と4体の新ネメシス
  • ECHO(反響)とATTACH(装着)という新メカニクス

ゲームプレイへの影響: 「新たな時代」は『レガシー』のシステムを簡易化し、不可逆な変更なしに似た体験を提供します。エクスペディションモードは4連戦形式で、成功/失敗によって次のネメシスや条件が変わる、リプレイ性の高いキャンペーンを実現しています。全体的に難易度がマイルドになり、爽快感を重視した設計になっています。

基本情報:

  • プレイ人数: 1-4人
  • プレイ時間: 約60分/ゲーム(エクスペディション全体で約4時間)
  • 対象年齢: 14歳以上

拡張:Shattered Dreams(砕かれた夢)

発売時期: 2019年12月(日本語版情報なし)

主な特徴と追加要素:

  • 1人の新破孔魔術師
  • 1体の新ネメシス
  • 10セットの新サプライカード
  • 5枚のトレジャーカード

ゲームプレイへの影響: エクスペディションモードに新たなコンテンツを追加し、バリエーションを広げます。

拡張:The Ancients(古代のもの)

発売時期: 2019年10月(日本語版情報なし)

主な特徴と追加要素:

  • 2人の新破孔魔術師
  • 1体の新ネメシス
  • 7セットの新サプライカード
  • 10枚のトレジャーカード

ゲームプレイへの影響: 新たな強力なキャラクターとサプライカードで戦略の幅を広げます。

拡張:Into The Wild(荒野へ)

発売時期: 2019年12月(日本語版情報なし)

主な特徴と追加要素:

  • 2人の新破孔魔術師
  • 1体の新ネメシス
  • 3セットの新サプライカード
  • 18枚のトレジャーカード

ゲームプレイへの影響: 特に多数のトレジャーカードが追加され、キャラクター強化の選択肢が大幅に増えます。

Wave5:Outcastsとミニ拡張

Outcasts(アウトキャスト)

発売時期: 2020年10月(日本語版情報なし)

主な特徴と追加要素:

  • 独立拡張として単体でプレイ可能
  • グレイブホールドに代わる新たなシステムの導入
  • エクスペディションモードの要素継承
  • トリッキーなネメシスと新たなメカニクス
  • 基本セットのシンプルさとは一線を画すデザイン

ゲームプレイへの影響: 『アウトキャスト』はシリーズが一部基本要素を変更した革新的な作品で、独創的なネメシスと新システムで従来のイーオンズエンドとは違った体験を提供します。上級者向けの複雑性が特徴です。

基本情報:

  • プレイ人数: 1-4人
  • プレイ時間: 約60-90分
  • 対象年齢: 14歳以上

拡張:Return To Gravehold(グレイブホールドへの帰還)

発売時期: 2020年11月(日本語版情報なし)

主な特徴と追加要素:

  • 新たな破孔魔術師とネメシス
  • 追加サプライカード

ゲームプレイへの影響: アウトキャストの世界に新たな要素を追加し、バリエーションを増やします。

拡張:Southern Village(サザンビレッジ)

発売時期: 2021年3月(日本語版情報なし)

主な特徴と追加要素:

  • 新たな破孔魔術師とネメシス
  • 追加サプライカード
  • 「アウトキャスト」が必要

ゲームプレイへの影響: さらに多様なキャラクターとカードで、アウトキャストの戦略の幅を広げます。

Wave6:Legacy of Graveholdとミニ拡張

Legacy of Gravehold(レガシー・オブ・グレイブホールド)

発売時期: 2021年(日本語版情報なし)

主な特徴と追加要素:

  • 2作目となるレガシーゲーム
  • より深く没入できる分岐ストーリー
  • 21人のブリーチ・メイジ(破孔魔術師)
  • 11体のネメシス
  • 34セットのサプライカード
  • 22枚の基本ネメシスカードと16枚の強化基本ネメシスカード
  • 初代『レガシー』の2倍以上のコンテンツ

ゲームプレイへの影響: 『レガシー・オブ・グレイブホールド』は、初代『レガシー』よりもさらに物語性が強化され、分岐するストーリーと豊富なコンテンツで長時間にわたり楽しめるキャンペーンを提供します。各ゲーム後に経験値を獲得し、それを使ってカードや能力を強化するシステムが採用されています。

基本情報:

  • プレイ人数: 1-4人
  • プレイ時間: 約60分/ゲーム(キャンペーン全体で約12-15時間)
  • 対象年齢: 14歳以上

拡張:The Ruins(遺跡)

発売時期: 2021年(日本語版情報なし)

主な特徴と追加要素:

  • 20セットの追加サプライカードのみで構成

ゲームプレイへの影響: 純粋にカードプールを拡大し、戦略の幅を広げる拡張です。

Wave7:Past and Future

Past and Future(過去と未来)

発売時期: 2023年(日本語版情報なし)

主な特徴と追加要素:

  • 「過去」と「未来」の2つの相互接続したストーリーキャンペーン
  • 時間を超えたストーリー展開
  • 従来のレガシーシステムに依存しない新たな要素
  • クラウドファンディングで成功した大型拡張

ゲームプレイへの影響: 「過去と未来」は、タイムトラベル要素を取り入れた2つのキャンペーンを提供し、どちらの順番でもプレイ可能な柔軟性が特徴です。レガシーとは異なるアプローチでありながら、強力なストーリー体験を実現しています。

基本情報:

  • プレイ人数: 1-4人
  • プレイ時間: 約60分/ゲーム
  • 対象年齢: 14歳以上

Wave8:The Descent

The Descent(ディセント)

発売時期: 2024年(日本語版情報なし)

主な特徴と追加要素:

  • 6人の新ブリーチ・メイジ
  • 4体の新ネメシス
  • 4人のフレンド(味方)と4体のフォー(敵)
  • 18セットの新サプライカード
  • 新システム「フレンド」と「フォー」の導入

ゲームプレイへの影響: 「フレンド」と「フォー」という新たな概念を導入し、ゲームの戦略性をさらに拡張しています。

基本情報:

  • プレイ人数: 1-4人
  • プレイ時間: 約60分
  • 対象年齢: 14歳以上

拡張:The Caverns(洞窟)

発売時期: 2024年(日本語版情報なし)

主な特徴と追加要素:

  • 2人の新ブリーチ・メイジ
  • 1体の新ネメシス
  • 1人のフレンド、1体のフォー
  • 7セットの新サプライカード
  • 7枚のトレジャー

ゲームプレイへの影響: 「ディセント」の世界をさらに発展させる追加コンテンツです。

拡張:The Abyss(奈落)

発売時期: 2024年(日本語版情報なし)

主な特徴と追加要素:

  • 1人の新ブリーチ・メイジ
  • 1体の新ネメシス
  • 1人のフレンド、1体のフォー
  • 7セットの新サプライカード

ゲームプレイへの影響: さらに深い洞窟世界とその住人を探索する拡張です。

拡張:古のグレイブホールドの物語(Tales of Old Gravehold)

発売時期: 2024年(日本語版情報なし)

主な特徴と追加要素:

  • 1人の新ブリーチ・メイジ
  • 2セットの新サプライカード
  • 2冊のナラティブブックレット

ゲームプレイへの影響: ストーリー要素に重点を置いた拡張で、ゲームの世界観をより深く楽しめます。

初心者におすすめの拡張

イーオンズエンドを始めるには、以下の2つがおすすめです:

  1. 基本セット(AEON’S END Core Set): 最もシンプルで、ゲームの基本メカニクスを学ぶのに最適です。難易度も比較的低く設定されており、初心者でも楽しめます。
  2. イーオンズ・エンド:レガシー: ストーリーを通してゲームシステムを段階的に学べるキャンペーンモードが特徴で、早期ミッションがゲームメカニクスの素晴らしい入門になります。自分だけのキャラクターを育てる楽しさも味わえます。

既に基本セットを持っている場合は、小箱拡張「深層(The Depths)」と「名無きもの(The Nameless)」がおすすめです。これらは比較的小規模な拡張ながら、新たなキャラクターとネメシスでゲームの幅を広げてくれます。

まとめ

イーオンズエンドは、基本セットから始まり、様々な拡張を通じて進化してきたボードゲームです。各拡張には独自の特徴があり、プレイ体験を多様化させています:

  • Wave1: 基本メカニクス確立、シンプルながら奥深いゲームプレイ
  • Wave2: 難易度上昇、複雑なカードメカニクス、Link spellsの導入
  • Wave3: レガシーシステム、キャラクター成長、ストーリー重視
  • Wave4: プチレガシー、エクスペディションモード、トレジャーカード
  • Wave5: 新システム導入、トリッキーなネメシス、複雑性の向上
  • Wave6: 大規模レガシー、分岐ストーリー、豊富なコンテンツ
  • Wave7: 時間を超えたキャンペーン、相互接続したストーリー
  • Wave8: フレンドとフォーというシステム、より多層的な戦略

日本語版が発売されているのは、基本セット、終わりなき戦い、レガシー、新たな時代、およびそれらに関連する一部の小箱拡張です。海外版に比べるとまだ選択肢は限られていますが、それでも十分な遊びごたえがあります。

イーオンズエンドは一度遊ぶと魅了される名作ボードゲームで、「デッキをシャッフルしない」という革新的なメカニクスと、破孔魔術師とネメシスの戦いというテーマが見事に融合しています。あなたも仲間と協力して、世界を守るための戦いに参加してみてはいかがでしょうか。

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