こんにちわ真夏です。
中世ヨーロッパの豊かな大地に広がるブルゴーニュ地方。その地を舞台に、プレイヤーは領主となって農地を開拓し、交易を行い、鉱山を掘り、城を築き、文化と経済の繁栄を目指します。
「ブルゴーニュの城(The Castles of Burgundy)」は、緻密な計画性と柔軟な対応力が求められる名作ユーロゲームです。
このガイドでは、初心者から上級者までを対象に、フェーズごとの戦略構築、タイルの活用法、プレイヤーボードや人数ごとの違いに至るまで、あらゆる要素を網羅的に解説します。単なる点数稼ぎではなく、流れるように手番を重ねていく“ブルゴーニュ的美学”を極めたいすべてのプレイヤーに向けてお届けします。
初心者向け基本戦略

「ブルゴーニュ」は選択肢が多く、最初は何をすべきか戸惑うことも多いゲームです。ですが、序盤に意識すべきポイントを押さえるだけで、着実に得点を積み上げることができます。
小さなエリアを早期に完成させる
序盤戦における最大の得点源のひとつが、早期フェーズでのエリア完成ボーナスです。
- フェーズA:10点/フェーズB:8点と、時期が早いほど高得点が得られます。
- 例えば1マスの鉱山を序盤で配置すれば、1手で完成し10点を得られる可能性があります。
- 小さいエリアは手数が少なくて済むため、完成までのコストパフォーマンスが非常に良いです。
序盤は特に、1〜3マスのエリアを優先的に狙いましょう。これにより、早期得点リードを築き、中盤以降の選択肢を増やせます。
初心者の落とし穴:
大きなエリアや派手なタイルに目が行きがちですが、それを完成させるには多くのアクションが必要です。序盤にそれらを追うと、得点効率が下がり計画が破綻する恐れがあります。
「ビッグ3」を重視する
「ブルゴーニュ」においてゲーム序盤の展開を安定させるのが、「ビッグ3」と呼ばれる以下の3種類のタイルです。
- 鉱山(灰色):フェーズ終了時に銀貨を1枚得られる安定収入源。早く設置するほど累積で大きな利益を生みます。
- 城(濃緑):配置時に即時追加アクションを実行可能。1手で2手分の価値を出せる貴重なタイルです。
- 船(青):ターン順を制し、商品を獲得可能。フェーズ開始時に先手を取るための鍵です。
特に鉱山は最初のフェーズに1枚でも獲得しておくと、最大5枚の銀貨収入が得られます。この銀貨で柔軟なタイル獲得ができるようになるため、経済面で圧倒的な差が生まれます。
ゲームを5つのミニゲームに分けて考える
ゲーム全体を「25ラウンドの長丁場」と捉えると見通しが難しくなります。
初心者には「各フェーズ=1つの短期計画(ミニゲーム)」として設計することをおすすめします。
フェーズごとのチェックリスト:
- 開始前に考える:どのエリアを完成させるか/必要なタイルは何か/どの倉庫に出るか確認
- 手元のタイル置き場を整理:フェーズが始まる前に空にしておくと、より多くのタイル獲得が可能になります
- 次フェーズの準備も意識:使わなかった銀貨や労働者が、次フェーズの展開をスムーズにします
このように、「今フェーズの目標」と「次フェーズへのつながり」を同時に設計することが、初心者から脱却する第一歩になります。
タイル置き場は常に余裕を持たせる
初心者がよく陥るミスが、「欲しいタイルがあるのに手元に空きがない」という状況です。
- タイルを1つしか置けない状態でダイスが欲しい倉庫を指したとき、タイルの取得が無駄になります
- この状態が続くと、ラウンド単位で貴重なアクションを失ってしまいます
対策としては:
- 1ラウンドに必ず1枚はタイルを配置するよう心がける
- ワーカーを使って調整し、タイル配置を優先する
- 倉庫に並んでいる「後々使いたいタイル」は、次のフェーズまで取らずに待つ判断も有効です
ワーカーと銀貨の価値を知る
労働者(ワーカー)と銀貨は行動を補助するリソースです。ですが、「補助」ではなく「必須」として捉えるのが戦略的思考です。
- ワーカー:1枚で1ダイス調整できる柔軟性の塊。2枚使えば1→3、6→4など自由自在。
- 銀貨:倉庫番号に関係なく任意のタイルを購入可能。競合相手に取られる前に確保できる強力な手段。
初心者はこの2種の資源を軽視しがちですが、実は1点のワーカーが5点の価値を生むこともあるのがブルゴーニュの深いところです。
中級者向け戦略

「ブルゴーニュ」にある程度慣れてきたプレイヤーは、単なる“目の前のアクション”にとどまらず、中期的な計画や他プレイヤーの動きを意識したプレイが求められます。ここでは、勝敗に直結しやすい中級者向けの重要なテクニックを紹介します。
ターン順序の管理
このゲームにおけるターン順序は、単なる手番の順ではなく、「どのタイルを最初に確保できるか」「商品を売却できるか」に直結する戦略上の生命線です。
- フェーズの開始時に先手を取ることで、欲しいタイルや商品を確保しやすくなります。
- 特に2人プレイでは、1巡目の行動が勝敗に与える影響が非常に大きくなります。
- 「船」タイルを1枚でも配置すれば、次フェーズの順序に影響を与えることができます。
戦術例:
フェーズAの終了時点で先手を握っておき、フェーズBで出てくる有用な黄色タイルを最優先で確保する。
中級者へのヒント:
ターン順を制する者が、序盤のアドバンテージを広げ、逆転されにくい展開を作れます。船の数が少なくても、フェーズの切れ目を意識して配置するだけで優位に立てます。
ボードの連結性を意識する
領地(自分のプレイヤーボード)は、中央から周囲に広がっていきますが、無計画にタイルを置いてしまうと、未完成のエリアが点在し効率の悪い展開になってしまいます。
- 拡張性を意識し、広がりのある方向にタイルを配置しましょう。
- 特に重要なタイル(黄色、船、鉱山など)が遠い場所にある場合、それらへアクセスするための導線を早めに確保しておくと中盤以降の展開が楽になります。
- 領地を分断しないように意識することで、必要な時に必要なマスへアクセスできる柔軟性を維持できます。
具体例:
「最初に鉱山に向かって道を作り、途中に船や城を絡める」ような展開にすると、リソースと戦略のバランスが良くなります。
タイル配置は“目的”と“効率”を両立させる
中級者の壁の一つは、「好きなタイルを置いて満足してしまう」ことです。タイルはあくまで“得点や効果を生み出すための道具”です。
- 配置によってどの程度の得点が見込めるかを意識する
- そのエリアが最終的に完成できるかどうかを考えてから手をつける
- 残りのラウンド数や必要なダイス目を考慮し、「手数に見合うか」を見極める
注意すべき例:
6マスの建物エリアに着手したものの、途中で必要な建物タイルが出現せず、4マスで止まってしまい得点効率が大きく低下――これはよくある失敗例です。
経済的な黄色タイルを見極める
中級者以降は、知識タイル(黄色タイル)の効果を最大限活用できるかどうかが重要な分岐点になります。
- 黄色タイルの中には、序盤に取ることで数ラウンドにわたって大きな効果を発揮するものが多数存在します。
- 特にタイル#8や#12などの“調整系タイル”は、ワーカーの消費量を抑えつつ行動の自由度を増やす強力な効果を持ちます。
- 終了時得点に繋がるもの(#15、#16〜24)は中盤以降に意識し始めると良いでしょう。
中級者に向けたアドバイス:
「今の戦略」と「黄色タイルの効果」が噛み合わないときは、無理に取りに行かないのも一つの判断です。あくまで自分の計画と合致しているかを優先しましょう。
未来を見据えた準備行動
中級プレイヤーに必要なのは、次フェーズや終盤を見越した“布石”を打つことです。
- 次に出そうなタイル種を予測し、それに必要なダイスやワーカーを前フェーズから蓄えておく
- 商品をすぐに売却せず、販売ボーナスの知識タイル(#3、#4、#15)と組み合わせてから一気に売るのも有効
- 常に「次フェーズで何をしたいか」を明確にし、それを実行するための“準備フェーズ”として今を活用すること
このような視点を取り入れることで、単なる「その場の最善手」ではなく、「数ターン先を見越した選択」を積み重ねていくことができるようになります。
上級者向け戦略

「ブルゴーニュ」で勝ち続ける上級プレイヤーたちは、アクションの効率や盤面の連携だけでなく、ゲーム全体の流れ(テンポ)を制御し、相手の計画を把握し、妨害を適切に挟むことで、常に盤面を自分のペースに引き込んでいます。
ここでは、勝率を安定させるための実戦的なテクニックと“ブルゴーニュ的読み合い”のコツを詳しく紹介します。
「The Flow」の理解と実践
上級者になるほど、プレイに“無駄のなさ”が生まれてきます。これは多くの場合、「The Flow(流れ)」を意識しているからです。
The Flowとは?
→ 各フェーズの構造・テンポに沿った“理想的な手番進行”のことです。
理想的なフェーズ展開例:
- フェーズ開始時:
- 空のタイル置き場
- 銀貨2枚以上、ワーカー2枚以上
- 目的のエリアに接続する準備済みマス
- 前半3手で:
- 目的のタイルを獲得
- 追加のワーカー/銀貨/知識タイルを確保
- 後半2手で:
- 一気にタイルを配置し、エリア完成&ボーナス獲得
これを毎フェーズ繰り返すことで、一貫した得点効率と盤面の拡張性を両立できます。
上級者の心得:
フェーズの終わりに「次フェーズの始動がスムーズにいく状態」へ盤面を整えること。それが継続的なリードを築く基盤となります。
「Four-Per」ルールの活用
“勝率60%以上”を超える上級プレイヤーが共通して意識しているのが、「1アクションあたり平均4点を目指す」という基準、通称「Four-Per」ルールです。
なぜ「4点」なのか?
- 全体で50アクション(25ラウンド×2アクション)
- 平均4点を稼げば、200点が見込める
- 通常ゲームでの勝利スコアは180〜220点前後(プレイ人数や展開にもよる)
実践的な例:
- エリア完成で15点→3手使用 → アクション効率5点
- 銀貨2枚でタイル購入→タイルが8点価値 → 4点/銀貨、追加アクション不要
- 知識タイル#15で商品4種売却→12点 → 販売タイミングが重要
この考え方により、「得点効率が低い動き」「目的のない配置」などを避ける判断軸ができます。
相手への妨害戦略とそのタイミング
上級者は、自分の戦略を通すことと同じくらい、相手の戦略を壊すことにも価値があると理解しています。
有効な妨害タイミング:
- 相手が特定色の小エリアを完成目前 → その色のタイルを先に取る
- 相手が先手狙いで船を集めている → 1枚だけ配置してターン順阻止
- 相手の知識タイル戦略が見える → 該当する建物/動物のタイルを確保
特に2人プレイでは、相手に得点させない=自分の得点と同義。自分の1点は、相手の-1点と合わせて2点差のインパクトを生みます。
上級者の視点:
ただし妨害は「目的を持った妨害」でなければ逆効果になることも。自分にも利益があるタイルを選びつつ、相手の動きを断つのが理想です。
中盤以降の“逆算プレイ”を徹底する
上級者はゲームの中盤以降、「どこで何点を取るか」「どの順で達成するか」を逆算して計画的にプレイしています。
例:終了までに黄色・鉱山エリア完成を目指す
- 残り10手で完了させるには、今フェーズ中に3枚の建物と1枚の船が必要
- ワーカーを3枚、銀貨を2枚確保する必要がある
- 目的タイルが現在出ていない場合は、倉庫が回るタイミングも予測
このように、「必要な手数と得点を数値で把握」しておくと、リソースの無駄遣いを最小限に抑えられます。
盤面全体を“俯瞰”する
初心者〜中級者は、自分の領地の一部分だけに注目しがちですが、上級者は「ボード全体の完成図」を早期にイメージしています。
- どの色のエリアが完成可能か?
- 何種類の知識タイルを揃えるか?
- 動物タイルで何種類集められるか?
- 建物の種類による終了時ボーナスは狙えるか?
これらをフェーズBあたりで見通せるようになると、勝率は飛躍的に上昇します。
状況に応じた柔軟な戦略切替
優れたプレイヤーは、計画通りにいかないときにプランB/Cを即座に起動できる柔軟性を持っています。
- 予定していたタイルが出なかった
- 相手に先に取られた
- ワーカーが足りず、目標のマスに届かない
そんなときに、「このフェーズでは知識に振って後半勝負に切り替える」「銀貨で代替プランを補強する」といった再構築力が差を生みます。
タイルタイプ別戦略

ブルゴーニュでは、6種類の六角形タイル(建物/城/船/鉱山/動物/知識)を配置して得点を稼ぎます。それぞれに異なる特性があり、どのタイルをどのタイミングで使うかによって、戦略は大きく変わります。
鉱山(灰色)
役割:経済基盤の構築
- 各フェーズ終了時に銀貨1枚を自動的に獲得できる
- 設置数に上限はないため、複数設置すれば最大5枚/ゲームの収入も可能
- ゲームの早期に設置するほど価値が高い
戦略ポイント:
- 最優先はフェーズA/Bでの設置。C以降は回収可能な銀貨が減るため優先度低下
- 鉱山を複数使うことで「銀貨でタイル購入→ダイス節約→点数効率アップ」という黄金サイクルが回り出す
- 知識タイル#2と組み合わせると、鉱山1枚で銀貨+ワーカーが得られ、さらなる経済強化が可能
相性の良い状況:
- 他に点数効率の高いアクションが見当たらないときの「将来投資」として非常に優秀
城(濃緑)
役割:追加アクションによるテンポ加速
- 配置時に即座に「ダイスを使わずに」追加アクションを1つ実行できる
- 「ワーカーの節約」「銀貨の温存」「連鎖アクション」に直結する極めて強力なタイル
戦略ポイント:
- 配置タイミングが重要。タイル置き場を空けたいとき/一気にエリアを完成させたいときに使う
- 特にダブルアクション(城→配置→完成→ボーナス)の流れは強力
- できるだけ小さいエリアに設置し、早期に完成ボーナスを狙う
上級戦術:
- 知識タイル#11(城に関連する配置調整)と組み合わせて、“精密なアクション制御”が可能に
船(青)
役割:ターン順制御と商品獲得による得点源形成
- 配置時に順番トラックを1マス進める+商品を獲得
- 「次フェーズの先手取り」と「商品売却での得点」の両方に関わる極めて重要なタイル
戦略ポイント:
- 船は毎フェーズ最低1枚配置できると理想的
- 商品タイルを集めておき、知識タイル#15(商品種類×3点)などと連動させてエンド得点を狙う
- 船エリアをフェーズA〜Cで完成させると早期ボーナスも大きく得られる
注意点:
- 船は得点直結ではないが、間接的に多くの得点アクションを支える役割を果たしているため軽視は禁物
建物(ベージュ)
役割:多様な即時効果で盤面補助・コンボの起点に
- 配置時に効果を発動する「即時ボーナスタイル」
- 銀貨獲得、タイル取得、商品売却など内容は多岐にわたる
戦略ポイント:
- 早期の倉庫/銀貨取得効果を持つ建物は、序盤のテンポアップに直結
- 中盤以降は「知識タイル#16〜23」(終了時に建物種類ごとに得点)と合わせて構築的に使う
- 通常、同種の建物は同一エリアに1枚まで → 知識タイル#1で制限解除が可能
建物の扱い方:
- 序盤は即時効果重視 → ワーカーや銀貨獲得
- 終盤は得点化にシフト → 種類を揃えて終了時加点を狙う
動物(薄緑)
役割:セットコレクション型の得点源
- 同一マス内に同じ動物種を重ねると加点が乗算
- タイルごとに1~4点が設定されており、最大化すれば高得点源に
戦略ポイント:
- 動物戦略はタイルの偏り・枚数に大きく影響される
- 2人プレイ:種類が偏ることが多く不安定
- 4人プレイ:すべての種類が出やすく、強戦略として成立
- 大マスでまとめて設置し、最大効率の乗算得点を狙う
組み合わせ例:
- 知識タイル#7:配置時追加得点 → 継続的な加点に
- タイル#24:動物の種類数×4点 → 広く浅く集める型でも活用可能
知識タイル(黄色)
役割:補助効果/得点増加/ルールの変更による戦略強化
- ゲーム中に継続効果を持つものと、ゲーム終了時の得点ボーナスをもたらすものに大別
- ほぼすべてのタイルが他のタイルと連携する前提の設計
戦略ポイント:
- 序盤に取るべきはアクション効率を高める効果(#8、#12、#6など)
- 中盤以降は終了時得点ボーナス系(#15、#16〜#24)に切り替える
- 自分のタイル配置傾向と相性の良いものを選ぶことが重要
注意点:
- 知識タイルを“1枚だけ”取っても効果は限定的 → 2〜3枚を組み合わせてこそ真価を発揮
プレイヤーボード別戦略
「ブルゴーニュ」には両面印刷のプレイヤーボードが複数あり、ゲームのバージョンやエディションによっては10枚以上の異なるレイアウトが存在します。これにより、毎回のプレイで異なる戦略が求められ、ゲームのリプレイ性と挑戦性が飛躍的に高まります。
ここでは代表的なプレイヤーボードの特徴と、それぞれに適した戦略を解説します。
ボード1(基本ボード・初心者向け)

特徴:中央配置型/バランス重視
- スタート地点が中央にあり、周囲に向かって自由に展開可能
- 鉱山、船、知識タイル、建物が均等に配置されており、基本戦術の練習に最適
- 動物と建物エリアはやや小さく、序盤から狙いやすいサイズ
戦略のポイント:
- **鉱山(1マス)→船(3マス)→知識(3マス)**と順に展開するルートが強力
- 左右に伸ばしやすく拡張性が高いため、タイルの選択肢を広く持てる
- ビギナーが「流れ(Flow)」を体験しながら安定した得点を目指せる構造
おすすめ対象:
- 初心者/練習プレイ/安定志向の中級者
ボード2(接続重視・柔軟型)

特徴:複数の小エリアが“橋”でつながっている構成
- スタート地点の周囲に選択肢が多く、戦略分岐がしやすい
- 中央に船、鉱山、建物がまとまっており、短期的な得点構築が得意
戦略のポイント:
- 序盤に中央を制圧して経済基盤(鉱山+銀貨)を築くのが鉄則
- 複数の方向に同時に伸ばすことが可能 → フェーズ単位で異なる目標を持つと相性が良い
- 早めに橋の片側に知識タイルを展開すると、ラウンド後半で柔軟に対応可能
中級者向けの評価:
- 序盤の出だしがうまく決まれば、後半の選択肢が格段に広がる構成
ボード3〜4(拡張型・偏重配置)

特徴:左右非対称/特定タイル種に偏りがある構成
- 片側に鉱山と城が集まり、もう片側に建物と動物が集中しているなど、明確な“戦術誘導”がある
- 難易度が上がる分、戦略を強く定めれば爆発的な得点も狙える
戦略のポイント:
- 序盤にどちらの側に展開するかを早期に決断することが極めて重要
- 「建物型」「鉱山型」「動物型」などの専用ビルドが機能しやすい
- 初期の知識タイル取得が、ボード上のタイル偏重に対応するカギになる
おすすめ対象:
- 上級者/1ゲーム1テーマの明確な戦略で挑みたいプレイヤー
ボード5以降(デラックスセットや拡張専用ボード)

特徴:地形が入り組み、配置に高度な計画が必要
- 通常の道筋では到達できないエリア、遠回りが必要な鉱山、隣接していない知識タイルなどが存在
- 経路設計能力と中長期的な計画性が問われる構成
戦略のポイント:
- ダイスの目やワーカー枚数の管理が、通常以上にシビア
- 時には一手無駄を覚悟して“つなぎ”のタイルを置く必要もある
- 知識タイルや城タイルの連続使用で、「ショートカット構築」が勝利への鍵
上級者向けアドバイス:
- ゲーム開始前に“最終形”を設計し、逆算的に拡張ルートを構築していくこと
共通の戦略指針(ボード共通)
- 序盤の3マス以内の小エリアを一つ完成させる目標を持つ
- 各色エリアに対して「完成可能かどうか」の見込みを立てておく
- 完成ボーナスに加え、ボーナスタイル(1位・2位)も意識する
- 遠隔地にある高価値エリア(6マスの知識、4マスの船など)への到達手段を設計しておく
プレイ人数別の戦略の違い
「ブルゴーニュ」は2~4人でプレイ可能なゲームですが、プレイ人数によってゲームの流れ、タイルの出現頻度、戦略の有効性が大きく変化します。同じ戦術でも、人数によっては効果的でなかったり、逆に非常に強力になることもあります。
ここでは、人数ごとのプレイ感と、それに応じた戦術的な調整ポイントを詳細に解説します。
2人プレイ
特徴:インタラクションが強く、テンポが早い
- 競争相手が1人だけのため相手の行動予測が非常にしやすい
- タイルの回転が早くないため自分が欲しいタイルが出ない可能性も高い
- エリア競争(ボーナスタイル)は純粋なスピード勝負に近い
戦略的ポイント:
- 相手の動きへの対応力が非常に重要
- 相手の狙っている色や建物の種類を早期に読み取り、先回りで潰す戦術が有効
- 妨害が直接勝利に直結する
- 鉱山、知識タイル、船などの“限定数”タイルを先に確保することで相手の戦術を崩せる
- 動物戦略は不安定
- タイル種類が出揃いにくく、同種動物のコンボが成立しにくい
- 早期に方向転換できるように柔軟性を確保すること
おすすめ戦術:
- ビッグ3の早期展開+小エリア集中攻略+状況妨害の3本柱
3人プレイ
特徴:最もバランスが良く、展開の予測と柔軟性が求められる
- タイルの出現が適度に進み、欲しいタイルが出やすく、流れすぎもしない
- 相手の行動が複数方向に分散されるため、読み合いよりも安定した戦術構築が有効
戦略的ポイント:
- エリア完成スピードと知識タイルの取得バランスが特に重要
- タイル競争に参加しつつ、得点効率も維持しなければならない
- 商品売却やボーナスタイル競争は中程度のプレッシャー
- 特化よりも堅実な点数行動の積み重ねが安定につながる
おすすめ戦術:
- 柔軟性の高いミッドレンジ戦略(知識+建物+鉱山)で幅広く対応
- 船と販売ボーナスを複合した中期戦略が機能しやすい
4人プレイ
特徴:インタラクションが最大、情報量が多く、展開が読みづらい
- 多人数プレイでは、1ターンの間に状況が大きく変わるため、緻密な計画は狂いやすい
- すべてのタイル種類が出やすいため、動物戦略や建物セット戦略が成立しやすい
- ただし、欲しいタイルが競合しやすく、ターン順の優位性が非常に重要
戦略的ポイント:
- 船タイルによるターン順コントロールは最優先事項
- 2巡目以降で先手を取り続けることで、重要タイルを先取しやすくなる
- 黄色タイルの競争が激化
- 有用な知識タイル(#6, #8, #15など)は即座に消えるため、先手必須
- コンボ戦術が成立しやすい
- 商品種類ボーナス(#15)や建物セットボーナス(#16-23)などが最大限に活きる
おすすめ戦術:
- 動物セット得点、商品売却戦術、知識タイルコンボなど、点数上限を高く狙える“加点型”戦略
- 相手のエリア完成状況を注視しつつ、2番手ボーナスも軽視しない
ソロプレイ/拡張によるバリアント(参考)
拡張セットやファンメイドルールによっては、1人用プレイ(ソロ)や5人プレイに対応したバリアントも存在します。
- ソロプレイではランダムAIや仮想競合による得点レースが中心となり、テンポ感は早い
- 5人以上ではタイル補充ルールやターン順ルールの調整が必要になり、ゲーム時間と計画性への影響が大きくなる
人数ごとのまとめ表
プレイ人数 | 展開の流れ | 戦略の傾向 | 有効な戦術 |
---|---|---|---|
2人 | 予測しやすい | 妨害・潰し合い型 | タイル先取/城・鉱山特化 |
3人 | バランス型 | 安定志向 | 柔軟展開+得点効率重視 |
4人 | 読みづらい | 高回転・競争型 | 知識・動物・商品コンボ |
黄色タイル(知識タイル)効果一覧(拡張版)

黄色タイル(知識タイル)は「ブルゴーニュ」の戦略に例外ルール・新しい勝ち筋・ゲーム終了時の得点ブーストをもたらす極めて重要な要素です。
1枚のタイルがゲーム展開を一変させることもあるため、効果の理解と使いどころの見極めがプレイヤーの実力差に直結します。
タイル効果一覧(再掲・補足つき)
No. | 効果の概要 | 活用ポイント |
---|---|---|
1 | 同じ種類の建物を1エリア内に複数配置可能 | 建物戦略の制限を取り払い、建物ボーナス(#16~23)狙いが加速 |
2 | 鉱山から銀貨に加えワーカー1個を得る | 経済基盤とアクション補助の両立。鉱山重視型と好相性 |
3 | 商品販売時に銀貨を追加獲得 | 商品を早期に売却する戦術で有効。商品数ではなく回数で利益発生 |
4 | 商品販売時にワーカーを追加獲得 | #3と類似。商品売却と盤面操作の両立を可能に |
5 | 倉庫2つから同時に商品を取得 | 商品を揃える戦略で活躍。#15とのコンボが強力 |
6 | 任意の倉庫からタイル購入可 | タイルの確保が計画的に。競争対策に必須級の柔軟性 |
7 | 動物タイル配置時に+1点 | 動物戦略の底上げタイル。コンスタントに得点が伸びる |
8 | ワーカー使用時の調整幅+2(最大2) | アクション選択の幅が劇的に広がる神タイル |
9 | 建物タイル配置時にダイス1調整可 | 建物戦術を安定化。#1・#16~23と好相性 |
10 | 船/動物タイル配置時にダイス1調整可 | 船や動物を多用する場合に有効。単体でも汎用性あり |
11 | 城/知識/鉱山タイル配置時にダイス1調整可 | 経済・知識コンボ向き。支援範囲がやや狭いため注意 |
12 | 倉庫からタイル取得時にダイス1調整可 | #6よりも効率特化型。狙いのタイル確保に効果大 |
13 | ワーカー獲得時に追加で銀貨1枚獲得 | アクション補助+経済ブーストの複合効果 |
14 | ワーカー獲得時に追加でワーカー2枚獲得 | ワーカー供給源。#8や調整型タイルと高シナジー |
15 | 商品の種類数×3点(終了時得点) | 終盤の得点源。商品を揃える戦術なら必須級 |
16~23 | 各建物タイプごとに4点(終了時得点) | 建物戦略の軸。#1と組み合わせれば高得点確定 |
24 | 動物の種類ごとに4点(終了時得点) | 動物の多様性で得点。4人プレイで特に強力 |
25 | 売却済み商品1枚ごとに1点(終了時得点) | 数で稼ぐ商品戦略向け。大量販売で爆発力あり |
26 | 所持ボーナスタイル1枚ごとに2点(終了時) | 特化型プレイの後押し。エリア完成速度と連動 |
27 | 常に手番順トラックの最上位になる | 船無しでも先手を維持可能な“支配タイル” |
28 | 銀貨1枚でワーカー2枚をいつでも購入可 | 経済変換型の好例。銀貨活用の幅が一気に拡大 |
29 | プレジャーガーデン(庭園)ごとに4点(終了時) | 拡張ボード用。終了時ボーナス特化型 |
黄色タイルの分類と活用タイミング
【序盤向けタイル(即時支援型)】
- #6(倉庫任意取得)
- #8(ワーカー調整2)
- #12(倉庫調整)
- #13 / #14(ワーカー獲得ブースト)
→ 狙いのタイルを計画的に確保したいとき、柔軟性を補うために活躍。
初期の戦略をスムーズに展開したいプレイヤーにおすすめ。
【中盤向けタイル(補助&構築型)】
- #1(建物制限解除)
- #3 / #4 / #5(商品関連)
- #9 / #10 / #11(特定配置時の調整)
- #7(動物加点)
→ 中盤のアクション効率を改善し、1アクションあたりの得点効率を高めたい場面で有効。
【終盤向けタイル(終了時得点型)】
- #15(商品種類)
- #16~#24(建物・動物の種類)
- #25~#29(得点ブースター)
→ 大きな得点差を一気に生み出すタイプ。序中盤で該当タイルを集めていた場合は優先して狙いたい。
戦術ごとのタイル相性一覧(抜粋)
戦術テーマ | おすすめ知識タイル |
---|---|
経済戦略(銀貨・鉱山) | #2, #6, #13, #28 |
建物戦略 | #1, #9, #16~23 |
動物戦略 | #7, #10, #24 |
商品販売戦略 | #3, #4, #5, #15, #25 |
柔軟プレイ・万能型 | #8, #12, #14 |
上級者向けアドバイス
- 知識タイルは「選ぶ」のではなく「準備して取る」
→ 事前にその効果を活かせるようなプレイをしておくことで、最大限に効果を発揮します。 - 1枚にこだわらず、2~3枚の連携で“知識のアーキタイプ”を構築する
→ 例:#6(任意倉庫)+#8(ワーカー調整)+#13(ワーカーで銀貨)=アクション効率型構築 - 黄色タイルを取るのは“得点”ではなく“ゲーム全体の補正と制御”
→ タイルを取ることで他の戦術が成立する、あるいは成立しない戦術を回避できる、という視点が大切です。
まとめ 最強のブルゴーニュプレイヤーになるために(拡張版)
『ブルゴーニュ(The Castles of Burgundy)』は、タイル配置の巧みさとリソース管理のバランス感覚、さらには先読み力と柔軟な対応力が問われる中〜重量級戦略ゲームの傑作です。単に最適なタイルを選ぶだけでなく、その配置の順番、相手の動き、フェーズの流れなど、複数の要素を複合的に扱うことが勝利の鍵となります。
ここでは、ゲームをマスターするために押さえておきたい総合的な戦略指針を、要点ごとに整理してまとめます。
1. フェーズごとに異なる戦略を展開する
- 序盤(フェーズA〜B)では、小さなエリアを迅速に完成させてボーナスを得る
- 中盤(フェーズC〜D)では、経済と盤面を広げ、得点効率を意識した配置へ移行
- 終盤(フェーズE)では、大型エリア・終了時ボーナスに集中し、残り手番の最大化を目指す
▶︎ 各フェーズの「目的」と「達成手段」を明確に持つことで、行き当たりばったりのプレイから脱却できます。
2. アクション効率(Four-Per)を常に意識する
- 基本アクションは全50手。1手あたり平均4点を目指すと200点の高得点に到達可能
- 高得点タイルやエリア完成だけでなく、「銀貨購入」や「知識タイルの獲得」もこの目安で見極める
- 効率が悪い行動(2点以下/何も得られない配置など)は極力避ける
▶︎ 「得点効率」という視点で見ることで、場面ごとの選択肢がより明確になります。
3. 自分の戦術に合った黄色タイルを早期に確保する
- 知識タイルは単体でも強力だが、他の戦略との“連携構築”によって真価を発揮
- 序盤は「柔軟性補助」型(#6, #8, #12など)を、終盤は「得点強化」型(#15〜#25など)を意識
- 他プレイヤーに先に取られると、戦術全体が崩れることもあるため注意
▶︎ 「自分の戦略に必要な黄色タイルがどれか?」を明確にした上で、タイル市場の動向を常に注視しましょう。
4. 「The Flow」を体得する
- 各フェーズの流れに乗ることで、手番効率・エリア完成タイミングが美しく繋がる
- 「フェーズの最初に取得、後半で配置」「次フェーズの開始時に銀貨・ワーカーを揃える」などのリズム管理が重要
- アドリブではなく“フェーズごとの設計図”を頭に描いてプレイする習慣を持つ
▶︎ 上級者ほど自然に実践しているプレイリズム。それを意識化することで、安定して強いプレイが可能になります。
5. 対戦相手の動きにも注意を払う
- タイルの市場は全員で共有する有限リソース
- 相手が特定の色や種類を集めている場合、競合を避ける/潰すという判断も必要
- 特に2人プレイでは、相手から1点奪う=自分が1点得るのと同じ。妨害が勝敗に直結します
▶︎ 盤面だけでなく「他プレイヤーの目的」も視野に入れておくことで、より戦略的な判断が可能になります。
6. 柔軟に、そして一貫性を持って
- タイルの出現、ダイス運、相手の動き……「想定外」は必ず起きます
- その時に慌てず、「準備済みの第2案、第3案」にスムーズに切り替えられるのが真の実力
- 同時に、序盤から一貫したビジョン(経済型・知識特化・動物狙いなど)を持つことで、方向性のブレを防げます
▶︎ 一貫性と柔軟性という一見矛盾する資質を両立させることが、ブルゴーニュの上達には不可欠です。
7. 最後に──「自分の戦略」を育てよう
『ブルゴーニュ』は定石や強戦術もありますが、それ以上に“自分の勝ちパターン”を見つけることが重要”です。
- どのプレイヤーボードが自分に合っているか?
- どのタイル配置が好きか?
- どの知識タイルが得意戦術と噛み合うか?
そうした“個人の最適解”を育てていくことで、ゲームの奥深さがより明確に見えてきます。
おわりに
『ブルゴーニュ』は、何十回、何百回と遊び込んでもなお新しい発見があるゲームです。
最初は混乱するかもしれませんが、得点の動線を理解し、盤面を読み、流れを制御できるようになると、一手一手の意味が明確になり「考える楽しさ」がどんどん増していきます。
あなたもぜひ、今日から“最強のブルゴーニュプレイヤー”を目指して、領地の発展に全力を注いでみてください。
参考資料:
- BoardGameGeek
- The Thoughtful Gamer
- Show Me How To Win
- My Boardgame Journal
- Alex Bajcz’s Advanced Player’s Guide
※画像はBGGより引用しております。
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